さんちゃむのこと

この記事は5分ほどで読み終わりますが、あなたにとって何の役にも立ちません。



さんちゃむと私が出会ったのは、20代の頃友人とシェアしていたマンションだった。

このマンションは後に伝説として語り継がれることになる奇跡の物件で、7?8LDKくらいの東京都心では珍しいワンフロア丸々使った部屋に、謎のバンドTRIPPPLE NIPPPLESのメンバー2名、フォトグラファー2名、俳優1名、謎のキャバ嬢1名、フラフーパー1名(わたし)、ファッションスタイリストから鍼灸師になったアバズレ1名という言葉にすると大分おぞましいメンツで共同生活が構築されていた。

どうでもいいけどTRIPPPLE NIPPPLESの当時のビデオも置いておきます。
この人たち謎に海外のビッグフェスでギグとかしまくってたんですけど、うん、なんか、うん、いま冷静に見るとすごいね。


まあこの乳首の人たちのことは置いといて、この伝説のカオスマンションで飼われていたのが、さんちゃむだったのです。

さんちゃむは本当にブサイクな猫だった。

しかも、そんな変な奴らの家で育てられたという生い立ちのためか常に目が殺気立っていて、隣の家に侵入して犬のゴハンを盗み食いしたりという食い意地の悪さも尋常ではなかった。

ある日突然、首輪をつけて帰宅したこともあるらしい。

そう、さんちゃむは二重生活をしていたのだ。

あんなに毎日「腹減ったプギーーーー!!!!」っつって騒ぎ立ててたくせに、あいつ他所の家でもメシ食ってたのである。

どうりで太ってるわけだよ。

さんちゃむは、もともと鍼灸師の角谷とフォトグラファーの山田だか山本だか(忘れた)っていうアバズレとクソ野郎のカップルが飼い始めた猫だったのだが、時が経ち2人が破局し山本が出て行ったため、シングルマザーの子となった。

山本、イケメンなんだけど部屋すっげえ汚かったなー。

あ、しかもこの物件一応ペット禁止だからね。

大家、上の階に住んでるからバレてたけどね。

あのマンションが伝説になった理由の一つに、1階が幼稚園だったという信じ難い事実がある。

幼稚園の建物の上層部が大家宅になっており、その下の階を賃貸で借りていたのだ。

だから必然的に我々もさんちゃむも、幼稚園の敷地内を通過して帰宅することになる。

幼稚園にあんな変な奴らがウロウロすんのとかヤバイよね。

私に至っては大量のフラフープ抱えてたしね。

さて、山本に親権放棄され角谷の子となったさんちゃむだが、この角谷がまたひでえ飼い主で大して家に帰ってこないアバズレだったため、さんちゃむは基本的に家に放置されることになる。

そんなさんちゃむを飢えから救ったエンジェルが私だったのです。


え?なに?角谷さんがなんか文句言ってる?うるせえ黙れ!!!

その後さんちゃむと私は交友を深め、毎晩ベッドを共にする仲に。

ていうかなんか勝手にドア開けて入ってくるし入れないとすごい怒るんです。

そんな距離感をすっ飛ばした愛情は、さんちゃむが私と片時も離れたくないと近所のコンビニまで歩いてついて来てしまうようになるまで加速しました。(マジ)

え、なんだろ、私って依存させ体質なのかな。
確かにストーカーとか昔からよく遭うんだよね。

でも皆そういうの重いからやめた方がいいよ。

さんちゃむはその後、我々が解散するのに合わせて角谷の実家に引き取られることになるのですが、引越しの日は私と別れたくなかったのかガチで押入れに隠れて出て来なくなり大変でした。

なかなか出て来ないさんちゃむにブチ切れてる角谷を見て、天使のような私は「本当にどうしようもねえアバズレだな」って同情しちゃったよネ。

ていうか今これ書いてて思い出したけど、あのマンション賃貸なのに壁ブチ抜いたり塗り替えたりしてたから、最後出る時に大家さんが卒倒しそうになって大変だったらしいよ。

そこもまた伝説。

こんな話書くと、さんちゃむ死んだんだなって思うじゃん?

いやあの猫、まだ生きてるんだわ。

二重生活してたくらい図太いしね。

なかなか死ななそうだよね。

さんちゃむは私のカレーパン盗んで見つかった瞬間にビックリして「ブニャッ!!」て叫んで、結局カレーパン落として行くみたいなマヌケな猫だったけど、結構いい奴だった。

私がクソ野郎と付き合って浮気されて泣いてた時も、元気付けるためにゴキブリの死骸をくれたりとかね。

なんならまだちょっと生きてるやつだったよね。

私のカバンにも1匹入れてくれてたね。


そんなアナーキーで優しいさんちゃむのこと、みき好きだよ。ずっとずっとね。