一杯のコーヒーと男のきもち

私は独身女性という立ち位置からか口の悪さからか知らんが、何かとフェミニストであると他認される。

ついでに言うとレズビアンと間違われることも結構多い。(ヘテロです)

しかし自分はフェミニストという言葉にはあまりしっくり来ないし、なんならある局面においては男性を擁護する側に回りたい。


近年ネット上では女たちが「みぃ〜ーートゥーー〜!!みぃーーートゥーーー!!」と怒号のように叫びまくり、一斉にハイヒールを投げ捨て、ミソジニー発言を見つけてはSNSで火炙りの刑にするというMeeToo火災が絶えない。

その火災の中には起こるべくして起きた天災もあれば、何者かによる放火もあるだろう。

決して性犯罪者を擁護したいという意味ではない。

ホリエモンが何かの番組で「ピンク系の犯罪者は一種のビョーキ」と語っていたが、何度も痴漢被害に遭ったことがある私自身もそうだと思う。

だからと言って罪に問われないはずはないし、私個人の意見としては、どんな理由であっても性犯罪者は狂い死ぬべきである。

しかしそのビョーキの人々と一般的な男性の全体像と女性の在り方自体を全部1つの線上に置いて、「女性って生きづらい」みたいになるのも結構な極論ではないかと思う。

Twitterなんかでは女性の性被害に関する悲観的なコメントが何万回もシェアされて、それだけ見てると世の中ってなんて女性に冷たいんだろうと感じさせられるわけだが、果たして日本はそんなに女性が生きづらい国だったろうか。

このへんの感覚は職種やバックグラウンドによっても異なるが、基本的に先進国の女性なんて世界的に見たら生きやすいほうなんじゃないの。


世の中がまだまだ男性優位な部分はあるだろうが、それでも女性の社会進出は一般的になり、MeeToo火災のパンデミックにより男がちょっとでも女性蔑視しようものなら晒しあげてもOKな風潮が出来上がった。

女なんてただでさえヒステリックで感情的な生き物なのに、その女達が感情に任せて声を上げられる時代になったんだから最強じゃないか。


そこで思い出すべきは、置き去りにされた男性の権利である。

私は、男性もまたある意味では性差別の被害者であると思っている。

私たち女は、女性をモノのように扱ったり、エロの象徴として面白おかしく祭り上げる男に対して異論を唱えることを覚えた。

しかし一方で、世の女性が男性に求める条件は「高収入・高学歴なんならついでに高身長」という、極めて物質主義的な価値観がまだまだ存在する。

これってつまり女性もどこかでは、男性をモノのように捉え作り上げられた「男性像」に当てはめているのではないか。


私は去年マッチングアプリのリサーチで、男性のプロフィールとマッチング率の傾向を探り統計を取り、実際に数十人と会って話を聞いた。

そこで気付いたのが、日本でトップクラスにユーザーが多いとされている某アプリのエグさ。

何百人もの男性を見ていると、200人に1人くらいの割合で異様にマッチング率の高い人がいる。実に平均男性の10倍近く。

この層の男性の特徴は共通していて、年収が1000万以上で、高学歴、次男。
ついでにルックスが良い。

この条件が揃った男性は、婚活市場で飛ぶように売れるのである。

ちなみにこの条件からあぶれた男性は、マッチすらロクにできないことも多いとボヤいていた。

高学歴で年収が高くても、長男と知った途端に連絡が来なくなることもあるとか。


まあこれはあくまでアプリ上の話だが、現実にもまだまだこういう風潮はあるんではなかろうか。

男子は子供の頃から「男は稼ぐもの、強くあるもの、女性を支えるもの」と教えられて育てられ、チビって泣こうものなら「男の子が泣いちゃダメよ」といなされる。

泣かせてやれよ、ツライんだってば。

男もまた、どっかの誰かが作り上げた「男性はこうあるべき」というステレオタイプに苦しめられている被害者なのではないだろうか。



私は若い頃、年上の男友達に「女性が財布なんて出すモンじゃないよ!しまっときな!むしろ持って来なくていいから!」と教えられてずっとそういうものだと思っていた。

自分にそれだけの価値がある云々の話ではなく、シンプルに払ったら失礼なものなんだと思っていたのである。

それも今思うとすごい勘違いだが、どのみちそんな価値観は30代に突入して崩れることになる。


先日男性と2人で食事に出かけ、食事代を払ってもらった。

相手もそこそこ余裕のある独身貴族なので、まあいっかと深く考えずご馳走になる。

その後おさんぽしていて彼が「コーヒー飲みたい」というので、道中にあったコーヒー屋さんでコーヒーを買ってあげた。

コーヒー1杯である。せいぜい500円くらいの。

そこでその男性が「えっ………!!あ、ありがとう!!!」と今までに見たことのない嬉しそうな顔で動揺したのを見て、私は全てを悟った。


女性も30過ぎると年下の友人なんかに奢る機会が増える。

私のように20代指をくわえて奢られっぱなしだったアホも、嫌でも支払う側になっていく。

それでもやっぱり、女性はプライベートで男性に甘える機会がまだ残っているもの。

でも男性は30過ぎである程度稼いでるとなると、年下の女性と出かければ20代の私みたいのが財布持たずにノコノコやってくるし、部下にはまあ奢らないとカッコつかんし、彼女や妻相手でも圧倒的に払うことの方が多い。

なんならウエイターも男性側に伝票持って行くしな。


そうなるともうね、1杯のコーヒーでも「買ってもらた…。」って目を丸くしちゃうんじゃなかろうか。


世の中では女性の生きづらさばかりが取りだたされるが、なんとまあ、男性だってべらぼうに生きづらいではないか。

政治家もサラリーマンも極道おじさんも、全て忘れておっぱい飲んでねんねしてえ夜があるよな。



おっぱい差し出すかどうかは別として、コーヒーくらいはじゃんじゃか奢ろうと思った初秋の夜。